走る量を月間走行距離として150km程度まで増やしても記録が頭打ちになっているランナーに実践していただいきたいのが1週間に2回を目安に実施するポイント練習です。
これはマラソンランナーとして記録を伸ばそうとした時に王道と言えるアプローチです。
ポイント練習とは息が切れるような速いペースで短い距離を走ることを繰り返す練習(インターバル走やレペティション)、レースペースを意識して20-30km走る長距離走の2つがあります。前者はフルマラソンを走る上での余裕度につながるスピードや心肺機能を養い、後者はフルマラソンをイーブンペースで走り切るスタミナにつながる筋持久力と心肺機能を養成します。
この二つをバランスよく取り入れることでフルマラソンに必要な走力が養われます。
お仕事をお持ちの方であれば、平日は短時間高強度のインターバル走やレペティション、土日いずれかで時間をかけて行う長距離走(20km走や30km走)を実施すると良いでしょう。週2回のポイント練習以外で走れる日は低負荷なジョギングに充て、疲労の回復とスタミナのペースアップを計ります。
インターバルトレーニングや長距離走といったポイント練習を実施しても記録が伸びにくくなっているランナーにおすすめなのが、自分の特性に合わせたポイント練習のアレンジです。自分の弱点を知り、課題克服のために練習メニューを組めるとポイント練習の効果も飛躍的に向上します。
ランナーは短い距離を走るのが得意なスピード型と長い距離を走るのが得意なスタミナ型と大きく分けて2つのタイプに分類できます。まずはランナーとしての特性を知るところから始めます。
以下はサブ3.5ランナーの走力の目安とされている指標です。
1500m:5分56秒
3000m:12分40秒
5000m:21分50秒
10km:45分16秒
ハーフマラソン:1時間40分20秒
上記の各種種目でタイムトライアルを実施し、自分が各種種目でサブ3.5の走力を達成できているかチェックします。ハーフマラソンは実際にレースで記録を算出してみるのも良いかもしれません。
上記種目のうち「短い5000mは達成できているけれどもハーフマラソンは達成できていない」という方はスピードは十分にサブ3.5の基準に達しているけれどもスタミナに課題がある(スピード型ランナー)ということが分かります。その場合はスピードを養成するようなトレーニングよりもスタミナを要請するトレーニングをに少し比重を置いてみると良いでしょう。平日のポイント練習もインターバルやレペティションよりも8-12kmのペース走などに変更すると効果的です。
また、上記基準をすべて達成できているけれどもサブ3.5を達成できないという方は、前半のオーバーペースなどレースのペース配分に誤りがあるかフルマラソンの距離適性が出来ていないということが予想されます。フルマラソンの距離適性をつくるためには長い距離を走ることがオススメです。練習の位置付けでフルマラソンのレースをいくつか入れてみるのも良いかもしれません。練習と位置付けたレースではサブ3.5を無理に達成しようとせず、1kmあたり5’15のイーブンペースで走ってみたり、最後の5kmだけ1kmあたりサブ3.5ペースに上げてみたり目的意識を持ち、練習と位置付けて走ることが重要です。
無理に練習レースで自己ベストを達成しようと欲張り、後半ペースダウンしてしまっては練習効果も半減してしまいます。
インターバルトレーニングや長距離走をすでに取り入れている方やポイント練習に対してモチベーションが上がらない方・マンネリ感のある方にオススメなのがトレイルランニングです。
トレイルランニングは傾斜のある斜面を走らなけれならないので、特に登りセクションにおいて心肺機能や脚にロードでは入らない刺激が入ります。また不整地をバランスを保って走らなければならないので体幹も強化できます。
トレイルランニングが初めての方は翌日は強烈な筋肉痛に襲われると思います。これが体に新しい刺激が入った証拠です。
もしトレイルランニングを初めて経験された方はシーズンに2-3度行ってみると良いでしょう。徐々に筋肉痛が出にくくなり、体が慣れてきます。筋肉痛の出方が和らいでいるということは体が強くなっている証拠なので、ランナーとしても1段階パワーアップしている可能性があります。
トレイルランニングを初めてからマラソンの記録が大きく伸びるランナーもたくさんいるので是非試してみてはいかがでしょうか?
トレイルランニングは装備をきちんと揃えたりする必要があり、ロードランニングに比べて怪我のリスクも高く危険が伴います。また、山の中でのルールも守る必要があります。初めての方はできれば経験者の方に連れて行ってもらい、アドバイスをもらいながらトライしてみることをおすすめします。
ロードでのポイント練習やトレイルランニングも気が進まないという方は低酸素トレーニングをトライしてみてはいかがでしょうか?
今は標高の高いエリアに行かずとも、都内の専門施設でも標高の高いエリアと同様の低酸素状態を作り出しトレーニングを行う施設があります。
ランチップスでも記事を書いている八木勇樹選手、三田裕介さんのお二人が運営するSPORTS SCIENCE LAB(表参道)でも低酸素トレーニングプログラムを提供しています。お二人にお話を聞くと低酸素トレーニングはゆっくりペースのジョギング程度の低負荷運動でも、平地環境で2時間以上の高強度トレーニング同等の心肺機能強化の効用があるようです。
また低酸素トレーニングを継続しているランナーはマラソンでの好記録連続が続いており、インターバルなど心肺に負荷のかかるトレーニング実施時に「以前よりも呼吸が楽になった」と感じるランナーが多いようです。
今までは実業団選手など一線で活躍する選手を中心に実践されてきたアプローチですが、市民ランナーにも非常に効果的な練習として認知され始めています。
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