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  2017年01月01日    

陸上長距離走の記録を決定する3つの要素とは?

マラソンをはじめとする陸上長距離走のタイムは3つの要素で決定されます。この3つの要素をベースにトレーニングを行うと、練習に根拠が生まれ、効率的な記録向上が期待できます。

八木 勇樹

近年、ランニングブームにより、日本国内でもおよそ1000万人がランニングをしていると言われています。楽しみながら走ることを目的とする人や、タイムを縮めようとトレーニングに励む人など、様々なランニングへの関わり方がありますが、今回はタイムを縮めようとする中級者・上級者向けにトレーニング方法を紹介します。

「タイムを縮めようとする初級者には関係ないのか?」と言われればそうではありません。初級者の場合は、単純に走る時間を増やすだけでもタイムの短縮は可能であるため、より専門的なトレーニングを行う必要があるという意味で中級者・上級者向けとしています。勿論、初級者が専門的なトレーニングを行えばより大幅なタイムの短縮に繋がるので、初級者の方でも目標タイムを設定して競技を楽しみたい方には是非実践してもらいたいトレーニング方法です。

マラソンのタイムを決める3つの指標とは?

陸上長距離走とは主に5km以上の距離を走るレースの事で、ハーフマラソンやフルマラソン、そしてウルトラマラソンも含まれます。このように5kmから21km・42km・100kmといった具合に、「長距離走」といっても距離は様々です。一般的に長い距離のレースだと『スタミナ』が必要だと言われていますが、一体『スタミナ』とは何なのか。そして短い距離で必要とされる『スピード』とは何なのか。それらを専門的なトレーニング理論により、紐解くと以下の要素から成り立っています。

一般的に、長距離走でタイムを決定する要素が主に3つあります。

【タイムを決定する3つの要素】
1、最大酸素摂取量(VO2max)
2、無酸素性作業閾値(AT値)
3、ランニングエコノミー(ランニングフォーム)
上記の3つの要素が長距離走のタイム短縮に大きく関係しています。項目別に紹介していきます。

1、最大酸素摂取量(VO2max)

まず1つ目は最大酸素摂取量。最大酸素摂取量とは、漸進運動で測定された酸素消費の最大量の事(Wikipedia参照)で、言い換えると運動中に体内に摂取される酸素の単位で時間当たりの最大値の事です。自動車に例えると排気量がこれにあたり、この値が高いとより多くの酸素を体に蓄え・供給することができます。持久系競技には重要な要素として、他競技アスリートの能力を比較するのにもよく使われます。長距離走においてもこの数字が高い方が一般的には速く走ることが出来ると言われています。

2、無酸素性作業閾値(AT値)

2つ目は、無酸素性作業閾値。無酸素性作業閾値とは、有酸素運動から無酸素運動に変わる運動強度の境界値の事です。この言葉には様々な定義がありますが、今回は有酸素運動と無酸素運動の境界点として捉えます。
この値が高ければ、走速度が上昇しても有酸素運動で走り続けることが出来ますが、この値を超えてしまうと無酸素運動に変わります。無酸素運動は主に短距離走で行われるため(短距離走の中にも実際には2種類の無酸素運動が存在するが、今回は割愛します)、この値を超えた走速度で長い距離を走り続けることはほぼ不可能です。この値が『スピード』の指標となるものです。前述の最大酸素摂取量の向上と相関性があります。

3、ランニングエコノミー

3つ目は、ランニングエコノミー。ランニングエコノミーとは、エネルギー効率に優れた走り方のことです。効率よく走ることのできるランニングフォームを習得すれば、少ないエネルギーで多くの推進力を生むことができ、タイムの短縮に効果的です。ピッチやストライドも関係してきますが、ランニングを行う時に使用する筋力をつけることが必要となってきます。トップ選手が走るランニングだけでなく、筋力トレーニングを行うのは、ランニングエコノミーを向上させるという目的があるからです。

3つの要素を意識してトレーニングを実践する

長距離走のトレーニングにおいて、日頃のジョギング以外で行うトレーニングとして、「インターバルトレーニング」や「ペース走」「距離走」などといった言葉を一度は聞いたことがあると思います。ただ、一概に「インターバルトレーニング」といっても、上記要素をきちんと理解して実践することにより、トレーニング効果はより高いものが期待できます。実は、様々なトレーニングは上記3つの要素を向上させるためにあるのです。そしてこの値は個々によって違うため、同じトレーニングでも自分に適正な設定タイム・心拍数で行う必要があります。

さいごに

以上、マラソンのタイムを決定する3つの要素を紹介しました。
次回は最大酸素摂取量(VO2max)、無酸素性作業閾値(AT値)を高めるために具体的にどのようにトレーニングを実践すべきかお伝えします。(ランニングエコノミーに関しては個々に合わせて、より専門的なトレーニングが必要となってくるため、ランニングエコノミー以外の3要素についてトレーニングを考えていきます。)

追記:続編記事が公開されました!以下よりご覧ください。

八木 勇樹 八木 勇樹
YAGI RUNNING TEAM代表。早稲田大学競走部にて箱根駅伝優勝を経験し、旭化成陸上部を経て、2016年7...
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カテゴリ: トレーニングに関するTips


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八木 勇樹
八木 勇樹
YAGI RUNNING TEAM代表。早稲田大学競走部にて箱根駅伝優勝を経験し、旭化成陸上部を経て、2016年7月より独立。現在東京オリンピック出場に向けマラソン競技に挑戦...

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